第738話 土地贈与には向かない相続時精算課税
相続時精算課税制度は、生前に贈与を受けた財産について、親や祖父母の死亡時、相続財産に合算して最終的に相続税で清算する制度です。生前贈与の非課税枠が2500万円あり、財産を何回贈与されてもその枠内なら非課税となり、2500万円を超えた場合には一律20%の贈与税が課されます。そして相続発生の際にも贈与時点での評価額で税額を算出する為、贈与から相続の間までに値上がりする可能性が高い財産を贈与することで相続税対策にもなります。
ですが、土地の贈与には他の財産にはないデメリットもあります。相続税対策には欠かせない「小規模宅地等の特例」は、相続時精算課税を適用した贈与には適用できません。また生前に贈与を受けた土地や建物などは物納にも使えません。さらに相続による土地の取得であれば税率0.4%で済む登録免許税が2.0%で適用され、相続時には免除される不動産取得税も課されてしまいます。こうした諸々の負担増により、相続で引き継ぐよりトータルで損をする可能性もあるので、制度利用の際にはどちらが得かをよくよく検討していただきたいものです。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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