第806話 連帯納付義務
税金を滞納すると、厳しい催促や差し押さえが行われます。とはいっても催促を受けるのは、あくまでも滞納した本人であって、「お前の子供が税金を納めないから、親として肩代わりしろ」などと言われることはありません。
しかしながら例外もあり、それが相続税の納付の時です。相続税では、ある納税義務者が滞納して税金を納められないときは、他の義務者らがその分まで負担しなければならない「連帯納付義務」が規定されています。例えば2人の子が親の遺産を半分ずつ相続した後に、片方が納税前に遺産を含めて全財産を使い切ってしまったり、失踪してしまったりということがあれば、残された1人は相続税を全額納めることになります。ただし肩代わりしなければならない税額は、受け取った遺産の範囲内に限り、自分の財産から持ち出すことはありません。
連帯納付義務者は法定相続人だけとは限りません。遺贈などで財産を受け継いだ人が他にいれば、その人と遺族はお互いに連帯納付義務を負うことになります。理不尽な話ですが、知らない間に父の愛人にひとかどの財産を持っていかれ失踪されたらその愛人の相続税の納税義務も連帯納付で負わないといけなくなります。
なお相続税を補完するものと言われる贈与税にも、連帯納付義務があります。受贈者が贈与税を納められない場合、肩代わりして納付を求められるのは、贈与者となります。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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