第1029話 換価の猶予
国税庁が発表した最新の国税滞納状況によれば、去年末時点での国税の滞納残高は前年度比で1%増加し、残高約9千億円ほどでした。これはピーク時だった1998年から比べれば3割ほどですが、22年ぶりの増加に転じた一昨年からの流れが続き、3年連続の増加となっています。
税金の納付が期限に間に合わないと、個々の事情にもよりますが督促状を発送した日から10日を経過した時点で、法律上は財産の差し押さえが認められています。
滞納から差し押さえまでの猶予は予想以上に短く、差し押さえられた財産は公売という形で処分されてしまいます。その対象は値段の付くものなら何でも含まれます。
もしやむにやまれず自分の大事な財産が差し押さえられてしまい、公売にかけられそうになった時には、「換価の猶予」という制度が使えることを覚えておいてください。これは差し押さえられた財産が公売などにかけられるのを最大2年間猶予するというものです。かつては納税者が担当官の温情にすがりお願いしていましたが、法改正により現在では滞納者の権利として申請できるように改められています。
差し押さえをされるような状況に陥らないことが一番ですが、万が一追い込まれた時の救助策として覚えておいて損はないでしょう。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
「所長の独り言」一覧はこちら
免責
本記事の内容は投稿時点での税法、会計基準、会社法その他の法令に基づき記載しています。また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上実行してください。当事務所との協議により実施した場合を除き、本情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切責任を負いかねます。また、本記事を参考にして訴訟等行為に及んでも当事務所は一切関係がありませんので当事務所の名前等使用なさらぬようお願い申し上げます。