第1134話 政治献金と寄付控除

個人で政治献金をすると、寄附金控除の対象となる場合があります。寄附金控除の対象となるのは、政治団体または公職候補者の政治活動に関する寄附のうち、特定の団体もしくは特定の公職候補者の選挙運動に関する寄附です。
特定の団体とは、次の5つをいいます。
●政党
●政治資金団体
●国会議員が主宰する政治団体または主要構成員が国会議員の政治団体
●すでに公職に就いている人の後援会
●公職候補者の後援会
上記団体への寄附のうち、政治資金規正法に定める報告書によって、総務大臣または都道府県の選挙管理委員会へ報告されたものが寄附金控除の対象です。
また、政党、政治資金団体への寄附の場合は政党等寄附金特別控除も選択できるため、税額を計算して有利になるほうを選びましょう。
また間違えやすいのが、政治資金パーティー券です。政治資金パーティー券は、パーティーの対価として支払うものですから、「寄付」にはなりません。政党の党費や講演会の会費も同様です。実質的には特定の政治家に対する金銭的支援に他なりませんが、これらは継続的、定期的に納入する金銭であり、一定の規約などに基づいた責務の履行として支払うものですから、寄付金には当たらないと解釈されています。
政治活動に関する寄附のうち、労務や事務所の無償提供はどうでしょうか。
これは経済的利益の供与にあたり、租税特別措置法に規定されている「寄付に係る支出金」には該当しません。したがってこれも寄付金の対象にはなりません。自社や業界の利益のために政治家に金銭を支出するのはよいですが、それで会社の資金繰りが苦しくなるようなことは避けたいものです。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
「所長の独り言」一覧はこちら
免責
本記事の内容は投稿時点での税法、会計基準、会社法その他の法令に基づき記載しています。また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上実行してください。当事務所との協議により実施した場合を除き、本情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切責任を負いかねます。また、本記事を参考にして訴訟等行為に及んでも当事務所は一切関係がありませんので当事務所の名前等使用なさらぬようお願い申し上げます。