第1179話 相続回復請求権
相続を望むのに遺産分割協議に参加させてもらえず、遺産も一銭ももらえなかったとします。このように相続人であることを無視された場合、どうしたらよいのでしょうか?
そもそも相続とは、包括的な承継であり、その権利を侵害された場合も、包括的に回復を求めることができます。この請求権を相続回復請求権と呼びます。
相続回復請求権とは、簡単に言うと、侵害者に対して相続権を主張し、「相続分にあたる財産を全部引き渡せ」といえる権利のことです。つまり個々の財産そのものの請求権にとどまらず、相続人たる地位の回復を要求する権利でもあります。
なお、相続財産に不動産があるケースでは、不動産の所有権移転登記には遺産分割協議書や相続人の印鑑登録証明書が必要となります。事実上、相続人の誰かを抜きにした遺産分割協議は無効扱いです。
相続回復請求権は、侵害の事実を知ったときから5年間(時効期間)、相続開始から20年間(除斥期間)で権利が消滅しますので、早めに権利を行使すべきでしょう。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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