子や孫の世代に資産を移転する手段として、今も昔も有効なのが生前贈与です。しかし長期的な計画に基づく贈与であれば問題ありませんが、何気なく妻や子にプレゼントしたものが贈与認定されて、予想しなかった税負担を課される「うっかり贈与」は何としても避けたいものです。渡し方さえ間違えなければ無税で引き継げる財産に税金がかかるのはもったいないことです。

 うっかり贈与の判断が難しいのは、単純に金額などの表面的な要素だけで課税か非課税かが決まるのではなく、どのような形での財産の受け渡しかによって決まるところにあります。

例えば結婚式費用について考えてみます。一般的に結婚式は本人たちだけでなく親のためでもあると考えられることから、親が支払った結婚費用は、贈与税の対象とはなりません。(社会通念上妥当な額に限られますが…)。また、新居への引っ越し費用としてまとまった額をプレゼントした場合も同様に非課税です。

しかし新婚旅行代金については、本人のための費用ですので、贈与税の対象になってしまいます。

 またよくあるのが保険の受取人の名義による贈与認定です。定期の生命保険で、満期時の保険金受取人を妻の名前を書いたとします。契約者は夫ですので満期により、妻に保険金が支払われたとたん、夫から妻への贈与認定がされることになります。

 また気を付けたいのが、贈与税の対象となるのは現金や保険金だけではない点です。車や宝石など高額な財産のプレゼントはすべて対象となり、そして国税は現金や物品にかかわらず、贈与の事実をどこからともなく把握し、「お尋ね」文書を送ってきます。

 例えば、息子が大学に合格し、車をプレゼントしたとします。購入にあたっては息子名義で車検申請しましたが、この場合にも数か月後、税務署から「お尋ね」文書が届くかもしれません。税務署は定期的に陸運局で車検の名義をチェックしているからです。ときにはディーラーに問い合わせて、名義を調べることもあります。学生には自己資金で自動車を買えるはずがない。ならば贈与税が取れるかもしれないとの判断でしょう。

 宝石ならば、税務署は定期的にデパートや宝石商などに出向き、優良顧客や高額取引をチェックします。売上伝票を反面調査することで、贈与の事実を把握します。

 国税はあらゆる財産に対してかなり厳しく目を光らせていると考えて間違いなさそうです。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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