日本を訪れていたロシアのプーチン大統領は、日ロ首脳会談やビジネス対話への出席などすべての日程を終え、16日夜、大統領特別機で日本を発ち帰国の途につきました。北方領土をめぐる主権の問題では、譲歩する姿勢を示すことなく、経済を中心とした日本との関係強化を目指す方針を強調しました。
ところで、ロシアの税制はどのようなものであるか皆さん興味ありませんか?
私的には、税理士の立場から言わせると大変興味がわくものであります。
そこで少し調べてみました。
そもそもロシア連邦は、1991年、ソ連邦が解体したことにより、従来のロシア共和国からロシア連邦に改称し、旧ソ連の国家資産、軍隊、国際的な地位(国連の安全保障理事会常任理事国)を継承しました。
ロシア連邦はエリツィン大統領の下で、ソ連時代の社会主義体制を全く放棄し、資本主義経済の議会制民主主義国家を軸として新たに出発しましたが、その急速な資本主義化は様々な矛盾を内包し、必ずしも順調に進んでいるとは言えず、特に新興企業の急激な成長の反面、インフレと社会保障などの切り捨てによって格差の拡大が進み、ソ連や共産党政治の復活を望む声も出ておる状態です。
ですが、今回、来日されたプーチン大統領は、ロシア革命の指導者レーニンを「彼の思想がソ連を崩壊させた」と強く批判、賛否両論の波紋が広がっております。大統領府は発言が経済悪化に不満を募らせる国民の分裂を招く事態を懸念し、火消しに躍起です。
レーニンは年配者の尊敬を集め、ソ連崩壊後も遺体はモスクワの赤の広場で公開されておりますが、プーチン氏は、学術に関する諮問会議の場で、詩人パステルナークがレーニンを批判した詩を引用した学者の発言を受け「(レーニンは)ロシアという名の建物の下に核爆弾を仕掛けた」「世界革命はわれわれには必要なかった」などと述べたそうです。
それでは、資本主義経済の機軸をなす税金制度についてはどうなのでしょうか?
2001年プーチン大統領はフラットタックスを導入しました。それまでは12%、20%、30%の累進課税制度であった税制(最高税率30%が5000ドル超から適用されていました)を、一律13%の個人所得税率としました。導入した結果、脱税や、とりわけ闇経済の資金が課税対象として把握することができ、また、ロシア社会でも租税回避を嫌う風潮が生まれたとされます。この税制改革によってロシアは税収が大幅に増えるという実績を残しました。ロシアの経済復興の主要要因に、このフラットタックス導入があるともされます。
ロシアの導入とその成功以降、香港、シンガポール、ウクライナ、ルーマニアなど、世界各国で導入が開始されております。
なお、日本の所得税の最高税率は45%ですが、日本の場合はこれに地方税(住民税)が加算されるので、実質税率は55%になり、45%のドイツを上回り、ベルギーと同水準になります。