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 お仕事をしているといろんなことがあるものです。ある方(以下Aといいます)の相続で、Aさんは生前に認知症を患い、成年後見人として弁護士の先生が選任されていました。

 Aさんは独身で、両親と御兄妹は、高齢で既にお亡くなりになられており、Aさんの財産は、当時お世話していた遠縁の二人の方に渡したいと自筆証書遺言を後見人に渡しておりました。

 相続が発生し、検認を受けたその遺言の中身を見てみますと、不動産の遺産分割事項しか記載がなく、5,000万円の残高がある預貯金の記載事項がありません。

 この時点で、Aさんの全財産を遠縁の二人の方に相続させたいという相続対策は失敗だったことになります。

 書かれていない財産については、その財産についての遺言書が無いのと同じですから、遺言書が無い場合と同じ進み方になります。
 書かれていない財産についてのみ、相続人全員で遺産分割協議を行うことになります。
 遺産分割協議を行うためには、Aさんの御兄妹に子供がいた場合には、その子供が代襲相続人として相続人になり、財産の行方を協議しなければなりません。

 このような場合を生じさせないために、遺言書では一般的に、個々の具体的な相続財産について記載した後に、「遺言者は、遺言者の有するその余の一切の財産を、****に相続させる。」などと記載するのが通例です。

 この案件がどうなったかといいますと、代襲相続人が、弁護士を立てて、自筆証書遺言自体が認知症を患った後に書かれたものであり無効であると未だに係争中であります。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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