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 最大の問題は、第3の虚偽公文書作成罪の成否です。

 今回の「書き換え」は基本的に「一部記述の削除」に過ぎません。一部の文言や交渉経緯等が削除されたことによって、国有地売却に関する決裁文書が事実に反する内容の文書になったと認められなければ「虚偽公文書の作成」とは言えないのです。

 「特例的な扱い」を示す記述の削除は、それによって、実際には、国有地売却が「特例的な扱い」であったのに、特例的ではない「一般的な扱い」による売却として決裁されたという内容の決裁文書になったと認められれば、「虚偽公文書」に当たることになります。財務省側は、交渉経緯や「安倍昭恵夫人」「日本会議大阪」に関する記載が削除された点は、決裁文書において決裁の根拠となった「本質的な内容」ではなく、「虚偽公文書」には当たらないと主張するであろうし、その点は、まさに疑惑の核心とされてきた、森友学園と安倍昭恵氏との関係、日本会議大阪と籠池氏との関係等が、国有地売却の決裁において重要な影響を及ぼしたかどうかに関連します。その影響があったと認められなければ、これらの記載を削除した決裁文書の写しの作成が「虚偽公文書作成」に当たるとは言えません。

 なお、国会での議論において重要となる記載を意図的に削除した決裁文書の写しを「真正な決裁文書の写し」であるかのように装ったからといって、文書の内容自体が虚偽でなければ、「虚偽公文書の作成」には当たりません。「決裁文書の写し」の行使目的が「国会に対する騙し」だったということとは、別の問題となります。

 このように考えると、今回の書き換えについて、公文書の偽造・変造、虚偽公文書作成などの「文書犯罪」が成立する可能性はかなり低いように思えます。むしろ、国会議員の調査や国会での審議に対する妨害であることからすると、むしろ、「国会議員の調査や国会での審議に対する妨害」として「偽計業務妨害罪」ととらえる方が、実態には即していると言うべきでしょう。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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