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 公正証書遺言は、遺言のプロである「公証人」に作成してもらう遺言で、遺言を残す人が公証役場まで出向くのが原則になっています。ですが、遺言者が入院していたり、あるいは体が不自由であったりといった理由で公証役場に行くことができなければ、公証人に出張してもらうことも可能です。

 公証人に出張してもらう際には、通常の公正証書作成手数料の他に、証書作成費用の半額の「病床執務手数料」や公証人の日当、また交通費が別途必要になります。

 公正証書遺言は、全文を自筆で書く「自筆証書遺言」と違い、作成のプロである公証人がかかわるので基本的に不備は生じません。確実に自分の思いを次世代に残すには最善の手法といえましょう。

 なお、公正証書遺言の作成の際には、2人以上の証人の立ち合いが必要になりますが、未成年者や推定相続人は証人になれませんので注意が必要です。

 遺言の内容を身内に知られたくないなど、どうしても証人になってくれる人が見つからないときは、公証役場が人を紹介してくれるので相談すればよいでしょう。弁護士などの専門家に立ち合いを頼むこともできますが、中には強引に後見人として売り込まれる場合もあるので覚えておいた方がよいかもしれません。

 聴覚・言語機能に障害がある人は、手話通訳士などの通訳人が立ち会うことで公正証書遺言を作成できます。

 入院中に書かれた自筆の遺言証書を巡っては、その作成時における判断能力の有無などから遺言の有効性について争われた裁判もあります。費用はかかりますが、トラブルの面を考えても公正証書遺言の方が適切に次世代に財産を譲れることは間違いなさそうです。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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