第696話 遺言書と異なる遺産分割
先日、以下のようなご相談がありました。
母の遺言書の内容が、私の兄にすべての財産を残すというものでした。私は母の介護をしていたので、兄は私にも財産の半分を受け取ってほしいと言ってくれています。遺言書の内容はどの程度まで尊重すればよいのでしょうか?
遺言通りに財産を分けるのが原則ですが、相続人全員の同意があれば、遺言の内容とは異なる遺産分割も可能です。故人の最後の意思である遺言書の内容は最大限尊重すべきとされていますが、相続人や遺言書で指定された遺産取得者の全員が遺言書の内容に反対した場合には、遺言書通りに分ける必要はありません。
この場合、遺言書で遺言執行者が選任されている場合は、その人の了承も得る必要があります。遺言執行者には遺言の内容が反映されるように行動する責任があるからです。また第三者に遺贈をしていたのであれば、その人の同意も必要となります。
また、この相談とは逆のケースで、遺言の内容が兄弟姉妹以外の相続人の財産の遺留分を侵害するものであるならば、その遺留分の取戻し請求をすることも可能です。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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