第741話 認知症の相続人がいる場合の遺産分割協議の進め方
相続人の中に認知症で判断能力が全くない人がいる場合、遺言書で財産の分け方が指定されていない限り、法定相続分通りに相続するか、あるいは成年後見人をつけて遺産分割協議をする必要があります。
法定相続分通りの相続では、小規模宅地の特例などの税負担軽減措置のメリットを最大限活用した遺産分割ができないおそれがあります。また不動産は相続人全員の名義で共有となるといった不都合も生じます。
一方、後見人と遺産分割協議をするケースでは、後見制度が被後見人の保護を目的とするものであることから、原則として被後見人の法定相続分を確保する分け方でなくてはならず、自由な遺産分割は出来ません。
なお、後見人が親族以外の専門家の場合には被後見人が死亡するまで報酬を支払う必要があります。
認知症を患っている人が相続人にいると自由な遺産分割はできなくなるので、財産を残す立場の人は遺言書を作成するなどの生前対策を講じるようにしましょう。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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