4994298_m

  酒は飲料品でありながら、農林水産業ではなく国税庁が所轄官庁となっています。これは古来より酒の製造や販売に為政者が税を課していて大きな歳入となってきたためです。日本で酒税に関する最も古い記録を見ますと、14世紀初めに京都の神社建立の造営費用にあてるために酒屋に課したものとされています。その後も形を変えながら酒にまつわる税金は現在まで続き、明治29年に酒税法が成立し、現行の酒税法は昭和28年に施行されています。酒税法ではアルコール飲料の種類ごとの税率などを定めるほか、酒類を製造する為の免許などについても厳格に定めています。

 この酒税法では、「酒類に水以外の物品を混和した場合において、混和後のものが酒類であるときは、新たに酒類を製造したものとみなす」とされています。

 とすれば、バーテンダーがカクテルを作る行為は、厳密にいえば「酒造」になります。しかし酒場で働くバーテンダーは酒類製造免許を持っていません。にもかかわらずバーテンダーが検挙されないのは、酒税法では酒場やレストランでお客様の求めに応じ、又は自分が飲むために「消費の直前に混和した場合」には、酒税法は適用されないとされているからです。つまり自分の家で作るカクテルも本来は酒類の製造に当たりますが、これらの理由により免許は不要ということになります。

 同様に家庭で作る梅酒についても、基本的には酒造ではありますが、糖類や梅のほか、財務省令で定められたものを自分が消費するために作るのであれば、製造免許の「適用外」とされています。しかしこれは、裏を返せば酒税法で認められていないものを混ぜてしまうと、酒税法違反に問われるということです。自家製のお酒を作る際には、気を付けなければなりません。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

「所長の独り言」一覧はこちら

 

免責
本記事の内容は投稿時点での税法、会計基準、会社法その他の法令に基づき記載しています。また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上実行してください。当事務所との協議により実施した場合を除き、本情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切責任を負いかねます。また、本記事を参考にして訴訟等行為に及んでも当事務所は一切関係がありませんので当事務所の名前等使用なさらぬようお願い申し上げます。