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 相続税の計算上、債務として差し引けるのは税務当局が「確実」と認めるものに限られます。その証拠となる書類は必ずしも書面による証拠だけではなく、単なるメモ書きであっても認められます。なお、債務の存在が確実であっても、その金額があいまいだと、相続開始当時の現況によって確実と認められる範囲の金額だけが控除対象となります。

 主なものとしては、例えば住宅取得に伴う借入金や未払金が挙げられます。金融機関が発行する残高証明書や購入契約書で確認ができますので確実に差し引けるマイナスの遺産です。

 また被相続人が不動産の賃貸業を営んでいれば、賃借人から預かった保証金や敷金も債務控除の対象となります。さらに被相続人が納めるべき税金があれば、それも債務控除の対象となります。

 他にも、子が父親に金銭を貸していて、返済が完了することなく父親が他界してしまった時は、金銭消費貸借契約が締結され、その契約に基づいて確実に返済がなされている事実がある等の前提により、相続人として借入金を承継した子は、相続税の債務控除の対象とすることができます。

 なお、連帯保証債務につきましては少しややこしくなります。債務控除対象となる債務は、相続が発生した時点において「確実と認められること」が必要であるので、たとえ被相続人が引き受けていた連帯保証債務を相続人が引き続き引き受けたとしても、ただちには債務控除の対象とはなりません。これが認められるのは、相続が発生した時点で、債務者が弁済できないため保証人がその債務を履行しなければならず、かつ債務者に求償しても補填を受ける見込みがないことが「客観的に認められる」という条件が付いています。

 

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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