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経済的な事情や虐待などの理由によって親元で暮らすことができない子供は国内に4万5千人いますが、そのほとんどが乳児院や児童養護施設で生活しています。施設ではなく一般家庭で過ごしている子は2割に満たず、他の先進諸国と比べても割合が低いです。

 生みの親のもとで暮らすことができない子供を施設ではなく家庭で養育する仕組みには、「里親制度」と「特別養子縁組制度」があります。2つの制度の大きな違いは法律上の親子関係が結ばれるか否かで、特別養子縁組制度では子供の親権をもって養育することになります。

 特別養子縁組制度は15歳未満の子を法律上の子とする仕組みで、養子は基本的に実子と同様に相続などの法律上の権利を持ちます。一般的に広く使われている「普通養子縁組」では生みの親との親子関係は消滅しないのに対して、特別養子縁組制度では縁組をした時点で養子と生みの親の親子関係が消滅し、原則として養親と養子は離縁できず、親子関係が続くことになります。

 一方の里親制度は、通常の親権を持たずに子供を養育する制度で、親とは言っても里子との間に法律上の親子関係はないため、里子と生みの親との親子関係は継続します。里親の相続が発生しても里子には遺産を受け取る権利がなく、里子に確実に相続させるには遺言や養子縁組といった手段をとるしかありません。子供が生みの親の元へ戻るか、あるいは18歳で自立すれば養育関係が消滅します。

 里親は行政から子育てを委託される立場なので、養育のための費用を一定額まで受け取ることができます。通常の里親手当は月8万6千円(2人目以降は4万3千円)で、非行問題のある児童や虐待で心身に甚大な影響を受けた児童、身体障害や精神障害がある児童を養う場合は月13万7千円(2人目以降は9万4千円)と規定されています。ほかにも食費や被服費などの一般生活費、幼稚園の費用や教育費、医療費なども補助されます。

 里親として里子の紹介を受けるには一定の研修の受講や児童相談所の調査などを受ける必要があります。里親候補者となった後も、5年ごとに更新研修を受けて登録の更新をしなければなりません。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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