我が家の近くにとうとうあの日本全国どこにおいても、黄色地に黒文字の看板でおなじみのマツモトキヨシが進出してきました。いつも見慣れていたダルマ薬局の看板がマツモトキヨシの黄色の看板にかわっているではないですか。さっそく調べてみたところ、2011年5月にダルマ薬局の株100%を取得して完全子会社化に成功しております。
マツキヨHDは東北6県に約30店舗しかなく、全店舗数の2%にとどまっていました。62店を展開するダルマ薬局の買収で東北地方の地盤を強化し、復興需要の取り込みをねらうつもりです。買収後もダルマ薬局の店名は変更しない方針でしたが、看板を変えるところを見ると方針転換したものとみられます。
東北地方でチェーン展開するドラッグストアとしてはツルハホールディングス(約300店)や薬王堂(約130店)などが大手で、ダルマ薬局は両社に次ぐ規模を持っておりました。
一方、マツモトキヨシは2015年度の実績では、売上高4953億円、店舗数1528店舗と、ドラッグストア業界の2冠を達成している業界の最大手企業です。
マツモトキヨシは1932年(昭和7年)千葉県松戸市小金に、社名にもなっている「松本清」が個人経営の「松本薬舗」を開いたことに始まります。
開放的な間口、照明も明るく、陳列されている商品の数々は、当時の薬局のイメージに革新的な変化をもたらしました。時代に伴い移り変わる顧客層のニーズを素早くキャッチ・対応していく力を武器に、爆発的に店舗網を拡充してきております。
99年には東証1部への上場を果たしました。その後マツモトキヨシは、出店競争・価額競争・異業種からの参入と、激化する業界の鎮静化・課題解決を図るため、地場の大手企業と手を組むことを企図します。これが今日までマツモトキヨシの行っていく、業界再編ともいえるM&Aの先駆けであります。
全国各地の有力な薬局と次々手を組むことにより、店舗展開をしている企業が地場の企業を自社グループに加えることは、既に対象企業が展開している住宅街などの優良物件だけでなく、地場の不動産情報ネットワークなどをまとめて手に入れることができ、地域参入の大きな足掛かりとなります。
マツモトキヨシがM&Aに取り組み始めた99年近辺は、ちょうどドラッグストア業界にM&Aが加速する流れが起こり始めた時期でありました。そのため、当時売り上げ首位であったマツモトキヨシでもその座にあぐらをかいているだけではとどまり続けることは難しく、自社の地場以外の有力企業に声掛けしていくことが必要だったものと思われます。
自己資本比率は61.9%と高い水準にあり、借入金も16年3月期には完済しております。
自己資本比率が高いということは、会社の経営が安定していることを意味し、倒産しにくい会社となります。
このあたりで借入を伴う大規模なM&A施策を行う可能性が少なくないと思われます。