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 相続人が相続税申告期限前に死亡した場合には、どのように扱われるのでしょうか。実際にあった事例を紹介しながらご説明します。

 半年前に姉の夫が他界し、唯一の法定相続人である姉が財産を引き継いだのですが、その姉が義兄の相続税の申告を終えないうちに亡くなりました。姉の法定相続人はその方だけです。この場合、義兄と姉の相続について相続税の申告が必要になりますが、申告期限はそれぞれいつになるでしょうか。

 相続人が相続税の申告をする前に死亡した場合、その相続人がすべきだった申告と、その人の死亡により発生した相続の申告の義務を、新たな相続人が引き継ぎます。この場合、二つの相続税の申告期限は新たに発生した相続の開始から10カ月以内となります。

 相続税の通常の申告期限は、相続開始の日の翌日から10カ月以内です。ただし、相続税の申告前に提出義務者である相続人が死亡し、連続して相続が発生する「数次相続」では、最初の相続の申告についても新たに発生した相続の申告期限までに提出すれば期限内申告となります。

 提出義務を引き継いだ人の申告書の提出先は、本来の提出義務者だった相続人が提出すべきだった税務署となります。

 なお、申告期限が延長されるのは、本来の提出義務者の相続人だけです。第一次相続で相続人が複数いたとすると、他の相続人は最初の相続の開始日から10カ月以内に申告しなければなりません。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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