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 消費税の税率が上がると、まずは事業者の資金繰りに影響が出てきます。国は、「消費税は広く国民一人一人が負担する公平な税」として、事業者は消費税額を預かるだけだから負担を負わないとしていますが、取引が強者と弱者の関係である以上、価格に転嫁できない事態が生じるのが消費税の体質です。このことを考えても中小事業者には厳しい時代となるでしょう。

 逆に輸出事業者は消費税が還付されるためオイシイ制度といえます。世界的大企業のある地域の税務署が赤字になるというのは、制度のゆがみを物語っています。

 発注元から「消費税分」の金額を満額受け取れずにいる事業者であっても、税務上は取引があった時点で、「受け取った」とみなされます。このようなことを繰り返すと消費税を納められない事業者も出てくることになります。

 そこで税務署は納付できない事態を避けるために「予定納付」を勧めています。もちろん、それができるくらいならだれも滞納などはしないのですが…。

 消費税は国税と地方消費税にわけられ、国税分が6.3%、地方税分が1.7%で、合計8%となっています。仮に前事業年度の消費税(国税)額が48万円を超えていれば、上半期分として前事業年度の消費税額等の1/2をあらかじめ国に納めることになります。これが400万円超なら、4半期ごとに前事業年度の消費税額等の1/4、4800万円超であれば、前事業年度の消費税等の1/12ずつ払う計算になります。

 この48万円超などの基準はあくまでも消費税(国税)の金額で決められますので、消費税の税率が上がれば、国税が6.3%から7.8%になるため、納付する回数が増える可能性が高まります。

 ではメリットはあるのかといいますと、端数処理がかんたんになるくらいといえそうです。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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