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 相続税の納税地は、相続税法第62条において、相続税法の施行地(以下「法施行地」という。)に住所を有する者は、その住所を納税地とし、法施行地に住所を有しないこととなった場合には、その者の居所を納税地とするとしています。また、納税義務者が法施行地に住所を有しない場合及び相続開始の時に法施行地に住所があった者が法施行地に住所及び居所を有しないこととなった場合には、納税義務者が納税地を定めて、納税地の所轄税務署長に申告しなければならないこととしています。
 しかしながら、相続税法附則第3項は、被相続人の死亡の時における住所が法施行地にある場合には、当分の間、その被相続人の死亡の時における住所地をもって、その納税地とするとしています。

 ここにいう「住所」とは生活の本拠地を指し、一方の「居所」は生活の本拠とは言えないが、相当期間にわたって継続居住している場所のことをいいます。これらは民法の概念を流用したものです。なお住所とは、番地を指すのみならず、実態として生活の本拠を指します。

 生活の本拠について判例では「一定の場所が生活の本拠に当たるか否かは、住居、職業、生活を一にする配偶者は、その他の親族の存否、資産の所在等の客観的事実に、居住者の言動等により外部から客観的に認識することができる居住者の居住意思を総合して判断する」と客観的に総合判断する旨を述べています。

 一方「居所」は民法23条で「住所が知れない場合には、居所を住所とみなす」とのみあります。つまり「居所」は「住所」に準ずるものとされるということです、住所が知れないということは、「分からない」という意味に加え「無い」ことも含まれます。

 居所に認定される例としては、単身赴任のサラリーマンが暮らすアパートや社員寮や学生の下宿などが挙げられます。状況によっては、これらの場所が「住所」に格上げされることを意味します。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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