152fc08b8a46f4765bf56b19ba2636fc_s

 2016年に行政不服審査法が改正されたことで、税金に関する不服の申立てに関する手続きが変わりました。

 行政不服審査法とは、行政庁による「違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為」に対して、簡易迅速な手続きによって広く不服の申し立てができるものとして、国民の権利利益を守ることを目的としています。大きな特徴の一つは、違法な処分だけではなく、違法とまでは言えないものでも不服申し立てができることで、権利救済の間口を広くしている点です。

 国税当局の課税処分に対する不服申立は、原則として国税不服審判所長に対する審査請求を行い、その裁決を経た後の処分になお不服がある場合に初めて訴えを提起することができます。つまり課税処分の取り消しを法定に訴えるには、原則として国税不服審判所長の裁決を経なければならないことになります。

 以前は審査請求を求める前に、さらに再調査の請求を経なければなりませんでしたが、改正法では一足飛びに不服審判所に申し立てることができるようになりました。改正後の制度では、再調査の請求をした場合は、その決定から1か月以内に国税不服審判所長に対して審査請求をしないと、訴えを提起することができないことになったので注意してください。

 改正法では、それまで不可能だった原処分長から提出された文書の撮影やコピーについて、謄写の請求(有料)ができるようにもなりました。かつては審判官の前で必死に書き写していたものが、謄写できるようになったことは、納税者にとって大きな変化だと言えるでしょう。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

「所長の独り言」一覧はこちら

 

免責
本記事の内容は投稿時点での税法、会計基準、会社法その他の法令に基づき記載しています。また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上実行してください。当事務所との協議により実施した場合を除き、本情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切責任を負いかねます。また、本記事を参考にして訴訟等行為に及んでも当事務所は一切関係がありませんので当事務所の名前等使用なさらぬようお願い申し上げます。