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 全国の会計業務に携わる方々、政府の無茶ぶりの定額減税の会計処理のため、ただでさえインボイスで事務負担が過重にならざるをえない現状に辟易しているのではないでしょうか。そもそも今回の定額減税について決定されたのは、去年の10月です。去年の年末調整に間に合ったはずです。そしたらこんな給与明細に減税額を明記する事務負担など必要なかったはずです。

 この給与明細に減税額を記載する法的根拠は、いったいどこにあるのでしょうか。

 給与明細を従業員に交付しなければならないというのは所得税法第231条に規定されています。そしてその中身については財務省令である所得税施行規則できめられています。その財務省令は、この3月31日に出されました。さすがに、財務省令は国会ではなく財務省だけの判断だけで発出できますので、国民はそれに従わなくても罰則までをくらうことはないでしょう。なので、林芳正官房長官もお願いしている、と低姿勢です。

 なんで減税額を明記する必要があるのか。理由は明らかです。この記載がなければ、給与所得者には、減税されたことの認識がなくなってしまうからです。国民に負担を強制してまでも政府の減税対策を認識させるとは、発想が北朝鮮と何ら変わりありません。

 定額減税については、その当時から、今通常国会の解散・総選挙があり得るので、23年12月に実施すべきところを、24年6月に後回しするともうわさされていました。もし仮に真に国民のことを思って、定額減税を12月に行っていれば、民間経済需要は現在と違ったものとなっていたでしょう。遅きに失したといわざるを得ません。

 政治資金については、領収書なしの非課税扱いなのに、定額減税については、給与明細に減税額を義務付けするなんておかしくないですか?あまりにも国民を馬鹿にしていませんか?国税庁は、脱税している政治家に対しては、動きが全く見られません。政府は、勤勉な納税者の負担を増やすことばかりしています。

 

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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