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 親が亡くなって相続手続を共同相続人の間で行っているとき、話し合いが折り合わず、協議が長引くことがあります。その間に親が所有していたアパートや駐車場などの収益物件から生じた賃料収入は、いったい誰のものになるのでしょうか?

 相続手続に2~3カ月位かかったとしてもまだ賃料収入は少額であり、あまり問題になることはないでしょうが、これがもめにもめて協議が整わず、裁判手続に及ぶようになってしまうと賃料収入も多額なものになってしまいます。

 相続財産は、親が亡くなったときに親が所有していた財産をいいます。賃貸収入は、親の所有していた収益物件から生じたもので親が亡くなった後に生じますので、厳密には相続財産には含まれないことになります。

 この問題について、平成17年9月に最高裁判所で「共有」とする判断が示されています。賃料収益は、法定相続人の法定相続分で分類されるとする考え方です。1審2審では、遺産分割の結果、賃貸不動産を相続した相続人に帰属するとする賃貸不動産を相続した相続人の「総取り」とする考え方を支持しましたが、それが覆されたことになります。つまり、このような賃料収入については、遺産分割協議は不要となります。

 相続人の1人が管理をしていて、明らかにその相続人が相続するものとされていても、分割前は、共有ということになりますので、その賃料収入も分配しなければならず、それを特定の相続人が収受してしまうと、贈与の問題にもなってきますので注意が必要です。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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