第1119話 社団・財団・株式会社

一般社団・財団法人と株式会社の大きな違いは、「持分」があるかないかという点につきます。例えば1000株の株式を発行している株式会社があるとして、A株主が800株、B株主が200株保有しているなら、株主総会でA株主は全体の80%の議決権を行使でき、配当があればその80%を受領する権利があり、解散時にはその時の財産額の80%を受け取る権利があります。
これに対して一般社団・財団法人で、拠出金の80%をAが、20%をBが出しているとき、定款で拠出額や会費の額に応じて議決権があると定められていない限りは原則として2人はそれぞれ等しく1つの議決権しか持ちません。また2人に配当金を支払ったり、解散時に残余財産を分配したりすることはできません。
一方、組織構成としては、株式会社は株主が1人でもよいのに対し、一般社団法人の株主に相当する「社員」は2人以上必要とされること以外、株式会社と一般社団法人はほとんど変わりません。
しかし、一般財団法人については、理事3人以上で構成される理事会を設置することや、監事を1人以上置くこと、評議員3人以上で構成される評議員会を設置すること、純資産額が300万円以上であることなど、満たさなければいけない条件が複数あります。
株式会社同様の経営をしたいのなら、規制がない分、一般財団法人より一般社団法人の方が容易で、相続税対策のために設立されるのが一般社団法人ばかりな理由はここにあります。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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