第1142話 関税

最近よく耳にするのが、トランプアメリカ大統領が推し進める関税政策です。自身を関税男と呼び、他国に高関税をかけることにより、自国の産業を活性化させることを主張しています。
関税をかけるということは、輸入品に対して文字通り税金を課すということで、その分、輸入品の価格が高くなり、アメリカの税収入が増えることになります。一見、輸入相手国に関税がかけられるように思われがちですが、この税金を負担するのは、その国の輸入業者です。つまり、アメリカは自国の輸入業者に新たな税金の負担を求めることになります。この負担増加分は、輸入品の価格に上乗せされることになり最終的に関税の負担を背負うのは、まぎれもないアメリカ国民ということになります。
トランプ大統領が、関税を引き上げる狙いに、貿易赤字を減らす目的があります。通常は、輸出企業の経営努力により他国との競争力を高めて達成すべき貿易黒字を、トランプ氏は、アメリカの輸出を増やすのではなく、逆に輸入を減らすことにより実現しようとしています。これは非常に危険な政策といわざるを得ません。
関税を支払うのは、輸入業者ですので、アメリカの輸入会社は、関税が引き上がれば、その分コストがかかり、売れ行きが悪くなるので、輸入量を減らさざるを得ません。当然品薄となり、製品の価格が上がります。
一方、コストの増加分(関税負担分)、輸入会社は、製品の価格に上乗せしますので、輸入製品の価格は上がります。どのみち、インフレを助長する政策となります。
インフレに苦しむアメリカ国民をさらに地獄に陥れる政策といえましょう。
アメリカが関税を引き上げるということは、相手国も対抗措置として、アメリカに関税をかけることが当然考えられます。そうなると逆にアメリカの輸出品が減ることになります。
この政策は、アメリカの景気をさらに悪化の方向に導くものにしか見えないのは私だけでしょうか。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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