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 民法大改正のうねりは、相続法にも及んでおります。

 法制審議会(法相の諮問機関)の民法部会は先月16日、遺産分割の際、配偶者が自宅に住み続けることができる「配偶者居住権」の創設を盛り込んだ民法改正などの要綱案をまとめております。

 死別して残された配偶者が、その後も安定した生活を送れるよう配慮する狙いがあります。関連法の改正案を提出しており、成立すれば1980年以来の相続制度の抜本改正となります。

 自宅の相続に関わる制度変更で、多くの人に影響が出る話です。そもそも遺産がどのように分けられるのかを、夫と妻、子供1人の家庭で説明しましょう。

 現在の法律では、例えば夫が亡くなった場合、夫の遺産は妻と子供で半分ずつ相続することになります。ただ、遺産といってもあまり預貯金などがなく、主だった財産が自宅だけだった場合、家は物理的に2つに分けることができないので、例えば2000万円の家なら、売却して現金にして妻と子供で1000万円ずつ分けることになります。

 ところが、妻は家に住み続けたい。一方の子供は自分の子供の教育費や住宅ローンがあったりして現金が欲しいという場合があり、もめることもありました。

 しかし、家を売ってしまうと妻は住む家がなくなってしまいます。高齢になってから退去を迫られると厳しいので、こうした事態を防ぐために、これまでの所有権とは別に、妻が引き続き住み続けることができる『居住権』を新たに設けることになりました。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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