第1233話 遺産分割禁止の遺言
遺産分割そのものを遺言で禁止することができます。分割が禁止されると、それぞれの相続人がいかに財産を欲しくても原則5年は分割協議を行えず、その間、遺産は相続人全員の共有状態となります。
遺産分割の禁止が行われる代表的なケースは、相続人の中に未成年者がいる場合です。未成年者でも特別代理人を立てることで分割協議を進めることはできますが、手続きが煩雑で、いらぬトラブルの種にもなりかねません。そこで未成年者が成年になるまで遺産分割を禁止し、本人が協議に参加できるようになるのを待つということが考えられます。
相続人同士の折り合いが悪くてトラブルが予想されるケースもあります。5年で関係性が改善される保証はありませんが、少なくとも頭を冷やす時間を稼げるという意味で検討に値する一手でしょう。
トラブル防止の観点からは利用価値の高い遺産分割の禁止ですが、デメリットも多く存在します。例えば分割を禁止された遺産は相続人全員の共有財産となるので、自由に処分したり動かしたりできません。共有財産が自社株であった場合、会社経営に重大の影響を及ぼすことも考えられます。
さらに分割を禁止しても相続税は待ってはくれません。実際に遺産を受け取っていない状態で、それぞれの相続人は法定相続分に従った税金を納める必要があります。しかも分割が終わっていない財産は、原則として配偶者控除や小規模宅地の特例といった各種の特例を利用できません。分割見込書を提出することによって、後から更正の請求などを行うことで最終的には優遇を受けられますが、手続きが煩雑で、一時的には持ち出しになる可能性もあります。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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