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 特別縁故者として認められるかどうかは福井家裁の却下理由にあるように「特別な関係」があったかどうかだとされます。高裁は認定理由として、男性の財産形成に施設利用料の安さが大きく影響したと指摘。さらに専用リフト購入や、葬儀、永代供養などのサービスが「人間としての尊厳を保ち、快適に暮らせるように配慮され、通常期待されるレベルを超えていた。近親者に匹敵か、それ以上だった」と説明しています。

 介護や障害者支援での施設が、入所者の特別縁故者に認定されるのは非常に珍しいケースです。

 政府は3月13日、民法の相続分野を見直す民法改正法案を国会に提出しています。その中で、相続人以外の者の貢献を考慮する方策として、これまで相続人にのみ認められてきた寄与分について、被相続人に無償で療養や看護などをした相続人以外の親族(特別寄与者)も請求できることとなります。具体的には相続人の配偶者などが想定され、介護貢献を相続に反映させたものとなっています。

 今回の裁判で論点となった「特別縁故者」が認められるのは、あくまで他に法定相続人がいないときのため、これによって他の相続人の取得分に影響するという話ではありませんが、今後同様の判断が続けば、今後の法改正に大きな影響を与えることは十分にありそうです。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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