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 実際にあった話です。被相続人である母が85歳で亡くなってから母の介護に献身的に努めてきた次女は憂鬱な生活を送っています。全く介護に無関心だった長女から「母の財産を700万円使い込んだ」と訴えられ、係争中だからです。

 次女が使ったとされるお金は、認知症の母を介護するために自宅をバリアフリー対応にする建設費にあてたものです。しかも症状が進む前の母から直接、預金通帳は次女に手渡されていました。長女は遠方に住んでおり、母の介護に一切かかわっていませんでした。

 もし仮に次女が母の生前に成年後見制度を利用し、母に遺書を書いてもらっていれば、問題はこじれなかったと思います。

 この制度では、認知症などで正常な判断ができなくなった人に代わって後見人を立て、その人自身のための法的手続きを行うことができることを認めている制度です。

 後見人は、遺産相続の手続きにもかかわれ、被相続人に代わって遺言もできます。このケースでは、母の判断能力が一時的に回復した時に聞き取り、遺言状を作成することができるのです。ただし、被相続人が常時、全く判断能力のない状態になりますと後見人とはいえ遺言状を作成することはできません。

 また、聞き取りの際には、医師2人の立ち合いが必要となります。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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