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 平成28年度税制改正により、国税から税務調査の予告後に、内容を確認して誤りを見つけて自主的に修正申告しても、最低でも5%の加算税が課税されることになりました。従来は、税務調査の予告があったのちでも、自主修正すれば加算税は免除されていましたので、自主修正のメリットが小さくなりました。

 ただし、自主修正にはまだ大きなメリットがあります。というのは、税務調査の予告があってからでも、自主修正することで重加算税は回避できるということです。不正取引に対するペナルティーである重加算税は、原則35%という高い税率であるため納税者にとってみれば、脱税の次に最悪な事態を意味します。

 そういう意味でまだまだ自主修正のメリットは、大きいと言えるかもしれません。今後も自主修正の利用は積極的に考える必要がありそうですが、注意しなければならないのは、自主修正の立証責任は納税者側にあるということです。

 法律的に言うと、自主修正は「調査があったことにより更正があることを予知しないでした修正申告」を意味します。税務調査で国税が間違いを見つけたことを納税者が把握すれば、その間違いに対してはいずれ国税から更正処分を受けることがその納税者にとって明白になります。このような場合に加算税を軽減させると、逃げ得を許すことになりますから、そうならないように更正が予知された後の修正申告は、自主修正にならないとされています。

 このような制度ですので、自主修正に関しては、「納税者が国税に間違いを発見されたと把握した時点」がいつになるのかが、国税と納税者との間で往々にして問題となります。

 この「更正があることを予知」したかどうかに関しては、国税ではなく納税者が立証しなければならないとされています。税務調査の場合、売上や経費など、税額計算に関係する立証責任は原則として国が負うとされています。このため忘れがちになりやすいのですが、こと自主修正に関しては、その立証責任は納税者にあることは必ず押さえておかなければなりません。

 このため、自主修正に関しては、調査官が実際に税務調査に来る前までに行うことを心掛ける必要があります。実際のところ、このように対応した場合には。原則、自主修正を認めると国税の通達にも明記されています。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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