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先日、生命保険契約について以下のご相談を受けました。

 「父は自分を被保険者とした生命保険の契約者として保険料を支払っていましたが、名義を父から長男である私へと変更しました。これからは私が保険料を支払いますが、父がそれまで負担してきた保険料に相当する分の贈与を受けたと判断されて贈与税が課税されますか?」

 契約者の死亡以外の理由で生命保険の契約者を変更したとしても、その時点では税金がかけられることはありません。課税されるのは保険金や解約返戻金が支払われた時になります。

 生命保険の契約者を変更した後、旧契約者である被保険者が死亡した場合、死亡保険金のうち被保険者が支払っていた額に相当する部分は相続財産とみなされ、相続税が課されます。また、終身保険の契約者変更後に解約返戻金を受け取ると、変更前の契約者が負担していた保険料分の解約返戻金は贈与税の課税対象となります。なお、受取人が支払っていた額に相当する部分は所得税の課税対象となります。

 保険金支払いの際の調書に、支払時点の契約者(新契約者)が払ってきた保険料の金額や契約者の変更回数が記載されるので、変更の事実は税務署に既に伝わっていることになります。

 また契約者死亡に伴う契約者の変更は、生命保険契約に関する権利を相続したとみなされて相続税の課税対象となります。税額は、旧契約者が死亡した時点で解約したと仮定した解約返戻金の額を基に計算します。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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