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 相続に関して残された家族が行わなければいけない手続は山ほどあります。相続税申告、不動産所有権変更、銀行口座解約などなど。以前はその手続きのそれぞれに大量の戸籍書類一式をそろえて、相続対象となる不動産を管轄する各自治体の法務局や預金などのある金融機関ごとに提出しなければなりませんでしたが、2017年にスタートした「法定相続情報証明書」制度によって、諸々の手続がはるかに簡素化されました。

 この制度は全国の登記所のいずれかに相続人全員分の本籍、住所、生年月日、続柄、法定相続分などの情報をそろえて提出すれば、偽造防止措置が施された法定相続情報の一覧図の写しが発行されるもので、以降の手続は法務局の発行する写しを利用すれば用が済みます。不動産登記の手続き、銀行での口座解約の際の書類、相続税申告の際の添付書類として活用できます。

 証明書には決まった書式などなく、被相続人と法定相続人全員の関係が一目でわかるよう相続人自身が一覧図を作成し、それを法務局で確認してもらうことになります。この際、それぞれの住所は任意記載とされているものの、証明書を様々な手続きで利用していくことを考えると、住所もあった方が便利かもしれません。

 注意したいのは、証明書に記載される被相続人と相続人の関係は「子」のような大まかなものでも構いませんが、こと相続税申告の添付書類として使うためには、「子」ではなく「長男」「長女」「養子」といった詳しい間柄でないと認められません。

 さらに証明書は戸籍謄本に基づいて内容の正しさを保証するものなので、戸籍のない人(日本国籍を持たない外国人など)が関係者にいる時は、証明書を利用することは出来ません。

 また相続人の中に相続放棄をした人がいても、証明書の一覧図では他の人同様、通常の法定相続人として記載されてしまいますので、そういうケースでも証明書を使うことは出来なくなります。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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