36545b938d207a239c9cc862484ff831_s

国税庁が2019年事務年度(2019年7月~2020年6月)に実施した相続税の税務調査は、新型コロナウイルスの影響により実地調査件数は減少した中で、無申告事案1件当たりの追徴税額は前年比22.6%増加しました。徴税の効率化を図り、資料情報等から一定規模の不正が予測される事案に的を絞り実地調査に入るという当局の姿勢が結実した格好となっております。

2019年事業年度に行われた相続税の実地調査の総数は10,635件(前事業年度比14.7%減)、そのうち無申告事案に対する実地調査件数は1,077件(同比22%減)とともに減少となりました。

一方で当局の担当者が「優先度が高いところに専念した」と話すように、実地調査全体における1件当たりの追徴税額は641万円(同比12.8%増)、無申告事案1件当たりの追徴税額は897万円(同比22.6%増)と増加しています。特に無申告事案に対する1件当たりの追徴税額は直近10年間で最大となっております。

贈与税事案についても同様に、実地調査件数は3383件(同比9.4%減)となった一方で、1件当たりの追徴税額は231万円(同比28.2%増)と増えています。

なお、当局は海外資産に対する調査も強めており、2019年度の海外資産に係る申告漏れ等の非違件数は過去最多の149件となりました。海外資産に係る1件当たりの申告漏れ課税価格は全体の約1.5倍となっています。租税条約等に基づく各国税務当局との情報交換や、CRS情報の自動的情報交換などを通じて海外取引や海外資産の保有状況の把握を進めているほか、納税者に国外財産調書の提出を呼び掛けています。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

「所長の独り言」一覧はこちら

 

免責
本記事の内容は投稿時点での税法、会計基準、会社法その他の法令に基づき記載しています。また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上実行してください。当事務所との協議により実施した場合を除き、本情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切責任を負いかねます。また、本記事を参考にして訴訟等行為に及んでも当事務所は一切関係がありませんので当事務所の名前等使用なさらぬようお願い申し上げます。