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 税金を滞納すると厳しい催促や差し押さえが行われます。とはいえ催促を受けるのは滞納した本人であり、通常は「お前の子供が税金を納めないから、親として肩代わりしろ」などと言われることはありません。

 しかし例外もあり、それが相続税です。相続税には、一人の納税義務者が滞納して税金を納められないときには、他の納税義務者がその分まで納付する義務が生じる「連帯納付義務」が規定されています。例えば、2人の子供が親の遺産を半分ずつ相続した後に、片方が納税前に遺産を含めて全財産を使い切ってしまったり失踪してしまったりしたら、残された一人は相続税を全額納めなければならなくなります。ただし肩代わりする税額には限度があり、受け取った遺産の額が上限となります。

 さらに連帯納付の義務者は法定相続人だけとは限りません。遺贈などで財産を受け継いだ人がいたならば、その人と遺族はお互いに連帯納付義務を負います。知らない間に父が愛人に財産を持っていかれ、さらに疾走でもすれば、考えたくもない展開になります。

 なお贈与税にも連帯納付義務は存在します。財産を受け取った人が贈与税を納められない場合、その時に肩代わりを求められるのは、財産を渡した人になります。財産をあげた上に税金も取られるとはなんとも理不尽な話です。誰かに財産を渡すときには人を見なければなりません。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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