第1110話 確定拠出年金制度
老後の資産形成を助ける手法として、利用者が増えている確定拠出年金制度(iDeCo)。最大の特徴として、掛け金とした払い込んだ全額が所得から控除されることです。年金として積み立てた額が全て控除できるのですから、実質的には「タダで年金を積み立てている」といっても過言ではありません。さらに積立金で得た配当や利子も非課税で、受給時にも手厚い税優遇が付いてくるのですからたまりません。
とはいえ、うまい話には裏があるのが世の常です。iDeCoも当然例外ではなく、様々な注意点があります。まずiDeCoは年金制度といっても、実際にやることは投資に他なりません。大きく得をする可能性がある一方で、当然損をするリスクも存在するわけで、老後に積み立てたお金が無くなってしまう可能性もゼロではありません。
さらにiDeCoは、年間の拠出額の上限が自営業者か厚生年金の被保険者か、他の企業年金に加入しているかによって変わり、また「加入できるのは65歳未満」という年齢制限が設けられています。長期間をかけて資産形成するNISAの「積立投資枠」と比較すると、年間投資上限額は、積立投資枠が120万円、iDeCoが最大約82万円です。またiDeCoによる投資は、あくまでも老後の資産を積み立てるものであるという理由から、原則として60歳になるまで払出ができず、ここにもNISAとの違いがあります。
そして勘違いしやすいのが、iDeCoはNISAと異なり、税優遇はあっても必ず受取時に所得税がかかります。退職時に退職金として一時に受け取れば退職所得控除、年金として少しずつ受け取れば公的年金等控除という税優遇は受けられるものの、所得税自体はかかるということです。このことはNISAが払出時にも非課税であることとは大きく異なります。
もっともこれらの注意点を踏まえても、iDeCoが老後の資産形成のために取れる有力な選択肢の一つであることに変わりありません。各控除の枠を出ないよう受け取ることで課税を避けられることもあり、また掛け金の控除と合わせればトータルで得をすることもあるため、自分にとってどうすれば得かどうかを、しっかり検討して利用してください。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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