第1257話 失踪宣告
相続人が行方不明で7年以上にわたって生死が不明な場合は、失踪宣告を行うことで、その人を「死人」として扱い、遺産分割協議を進めることができます。宣告された人は相続人から除外され、その人に法定相続人がいるのなら、そちらが協議に参加することになります。
もしその後、失踪宣告を受けていた相続人が実際には生きていて、本人が失踪宣告の取り消しを行ったとしても、遺産分割協議をやり直す必要はありません。例えば「実は生きているのを知りながら協議を進めた」というような悪意がない限り、失踪中に行われた法律行為に影響が及ぶことはありません。
ただし他の相続人が遺産分割で得た財産を返さなくていいかといえば、そうではありません。民法では、「失踪の宣告によって財産を得た者は、その取り消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う」と定められているからです。
この「現に利益を受けている限度」というのがくせ者で、例えば相続した財産を全額ギャンブルで浪費してしまったような場合は、この現存利益が存在しないとして返す必要がなくなります。しかし一方、生活費として使ったような場合には、「失踪宣告によって得たお金を使った分、自分の財産を使っていない」として、利益が他に形を変えて今も残っていると解され、返還する意義が生じてしまうのです。この現存利益の解釈は非常に難しいため、専門家に相談することをお勧めします。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
「所長の独り言」一覧はこちら
免責
本記事の内容は投稿時点での税法、会計基準、会社法その他の法令に基づき記載しています。また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上実行してください。当事務所との協議により実施した場合を除き、本情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切責任を負いかねます。また、本記事を参考にして訴訟等行為に及んでも当事務所は一切関係がありませんので当事務所の名前等使用なさらぬようお願い申し上げます。
