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 相続によって取得した財産を、その財産を取得した相続人が一定の団体に寄附をした場合、その寄附をした財産が相続財産から除外されるという特例があります。直接的な相続税の節税にはなりませんが、寄付した分が相続税の課税対象からは除外されますので、社会貢献の目的であれば、活用できる特例となっています。

この特例が受けられるのは、ある一定の団体に寄付をしたものに限られます。具体的には、以下のような公益性の高い団体等になります。また寄附をする際に、相続税の控除の特例を受けたい旨を申し出れば、必要書類を発行してもらえるため、相続税の寄付金控除を受ける場合には、寄付の前にその旨を伝えるとよいでしょう。

①国や地方公共団体

その名の通り、国や、また市役所、区役所等の地方公共団体となります。

②認定NPO法人や特定公益増進法人

複数ありますが、一例をあげますと、赤十字社やユニセフなどが挙げられます。

この控除を受けるためには、相続税の申告期限(相続開始から10ヵ月以内)までに寄付を行わなければなりません。また寄附を行えば、必ず領収書がもらえます。その領収書を相続税の申告書に添付し申告を行う必要があります。

また、相続税の申告書の第14表に記載欄がありますので、寄付をした旨をこれにより税務署に報告する必要がありますので、相続財産から寄付を行った場合には税理士に知らせるのを忘れないようにしましょう。

この特例の控除を受けることができる上限金額は特に設定されていません。
例えば、相続財産が10億円あったとして、その10億円をすべてユニセフに寄付をすると、そのすべてが相続税の計算対象から除外されますので、相続税はゼロとなります。

ただ、この寄付をした結果、その寄附をした人が、何らかの特別な利益を受けることになった場合には、この特例の適用ができないという規程があります。

つまり、10億円寄附をしたことにより、寄付をした団体の理事に就任し、報酬として10億円を得た、などといった場合がこれに該当すると考えられます。 

こういった租税回避目的での寄付を防ぐために、寄付金控除先として公益性の高い団体のみが対象となっています。

この相続財産から寄付を行い、相続税の寄附金控除の特例を受けたものについて、なお相続人の所得税の寄付金控除も受けることが可能です。相続人にある程度、収入がある場合でかつ相続税も多額に支払うようなケースでは、場合によっては寄附した金額以上に節税が可能になることもありえます。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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