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 地方都市で〝負動産〟の代表格は、バブル時代に建築されたリゾートマンションです。新潟県湯沢町では90年代初頭にスキーブームの到来と長野5輪決定が重なり、リゾートマンションが乱立しました。湯沢町によりますとその数は58棟の約15,000戸に及んだと言います。これは町の全世帯数の約4倍になります。当時は「東京都湯沢町」などと揶揄され、町の職員が東京都内に張り付き固定資産税の徴収に精を出す姿が頻繁に報道されました。

 しかし、バブル崩壊後、湯沢町のとあるリゾートマンションは投げ売り状態で1室10万円でも買い手がつかない状況が続いています。裁判所の判断で強制的に競売にかけられていますが、管理費などの滞納分や荒れ放題の室内の修繕で、たとえ安価で購入しても支出は相当額に上ることがほとんどです。

 こうした事態は都心のマンションでも十分に起こりえます。国土交通省の統計では、全国の分譲マンションの総戸数は17年末で約644万戸。そのうち築40年超の老朽物は約73万戸ありますが、20年後の37年末には約350万戸に膨れ上がると推計されています。老朽化が進めば資産価値が下がり、空室が増え、管理費や修繕積立金を滞納する区分所有者が必然的に増えます。

 所有者が不明となった空き部屋は、次の買い手が見つかるまで管理費や修繕積立金を徴収できません。そうなるとますます管理の状況は悪くなります。古くなればなるほど大規模修繕費用が必要になるのに、区分所有者は高齢化していき、滞納者は増えていきます。建て替えるにも所有者の合意は容易ではありません。結果的にマンション全体の劣化のスピードが速まり、価格は下がり、物件を手放す人は一層増えるという負のスパイラルに陥るという構図です。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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