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高市総理が衆院選で選挙公約として掲げた「食料品の消費税率ゼロ%への引き下げ」。総理はこの消費税減税について、「私の悲願であった」と述べ、実現への強い意気込みを示しました。しかし、予算案については審議時間を短縮してまで衆院を通過させたものの、消費税減税に至っては国会ではなく「国民会議」で議論するとし、減税へ向けた議論は遅々として進んでいません。

その一方、既定路線となっている「実質的な増税」は着々と実施されています。4月からは「子ども・子育て支援金」に伴う〝増税〟が、予定通りスタートしています。
ここであらためて認識しておかなければならないのが、中小事業者は以前から「少子化対策」として少なくない税金を納め続けてきたという事実です。

「子ども・子育て支援金」は2024年、岸田文雄政権によって制度化されました。当時、納税者が負担する拠出額についての国会審議では、担当大臣の答弁が二転三転。岸田総理もただ、「国民の負担は実質ゼロ」と繰り返すだけで押し切ったかたちです。

ですが、実際には国民の負担は増します。例えば年収6百万円の人だと、2026年度は年7200円、2027年度は年9600円、2028年度以降は年1万2千円と段階的に徴収額が増えていく仕組みになっています。

国は2003年に「少子化社会対策基本法」と「次世代育成支援対策推進法」の2つの法律を制定し、少子化対策会議を設置。その下に2005年には少子化社会対策推進会議を置いて少子化対策に取り組んできました。当初の関連予算は年間約3.7兆円でしたが、2026年度予算案では、「こども家庭庁」だけで約7.5兆円の規模まで膨張しています。ですが、予算の拡大に反比例して子どもの数は約3割減となり、少子化は政府の想定より17年も早く進行しています。

中小事業者が「重い負担」と感じているのは、税金よりもむしろ〝第2の税金〟とも呼ばれる社会保険料です。従業員とも痛み分けする労使折半の負担ならまだしも、「全額事業者負担」の〝税〟も存在するのだからたまったものではありません。その代表格が「子ども・子育て〝拠出金〟」です。

4月から始まっているのが「子ども・子育て〝支援金〟」。こちらは、児童手当の給付拡大などに充てるための財源として、公的医療保険制度を通じて「家計」と「事業者」の双方で負担していくものです。現役世代の労働者に限らず、リタイア層からも、支援される側の若年層からも、そして事業者からも徴収するという制度設計です。しかし中小事業者は、この「支援金」よりはるか以前から、「拠出金」という名目で「子育て財源」を負担し続けています。

「拠出金」は、「子育て支援、児童手当の支給に要する費用等の一部に充てるために〝事業者〟から徴収する」もの。今回スタートしている「支援金」とはほぼ同じ目的なのだから、はっきりいって、〝二重課税〟もいいところです。アスベスト被害対策の「一般拠出」と同様、従業員の負担はなく、全額が事業者負担となっています。
公的医療保険制度を通じて徴収、つまり健康保険料に上乗せして取られることになる「支援金」との違いは、この「拠出金」が従業員の厚生年金保険料に上乗せされ、その全額を事業者だけで負担している点です。日本年金機構が徴収していますが、社会保険料ではなく、れっきとした税金です。つまり事業者は今後、年金からも健康保険料からもダブルで徴収されることになります。

「拠出金」は以前、「児童手当拠出金」という名称でした。その歴史は長く、児童手当制度がスタートした1972年から存在します。つまり、事業者はすでに50年以上もこの財源を負担し続けてきたわけです。そこに加えて「支援金」の負担も加わるのですから、歴代政権はこの50年もの間、いったいどのような政策を実施してきたのでしょうか。財源を確保していたのにもかかわらず、効果的な政策を打ち出すことができずに今日の状況を招いているのですから、この「拠出金」を無駄遣いにしてきただけなのではないでしょうか。

事業者の負担は、個々の従業員である被保険者ごとの厚生年金保険料を算出するための標準報酬月額に拠出金率を乗じて計算します。拠出金率は、2014年度までは0.15%でした。「子ども・子育て支援改正法」が施行された2015年に現在の名称に変更。料率は2018年度に0.29%、2019年度に0.34%と段階的に引き上げられ、現在では0.36%となっています。しかもこれだけでは足りないとでもいうのか、「政令によって0.45%までは引き上げ可能」とされています。

そもそも政策に必要な財源ならば、堂々と「増税」で集めたらいいのですが、「税金だと気付かれないように集める」かたちでの〝増税〟は、あまりにも姑息です。

年金に上乗せして集める「拠出金」

公的医療保険料にプラスする「支援金」

国税なのに地方自治体が住民税と一緒に徴収する「森林環境税」

自治体が徴収した「特別法人事業税」を国に払い込ませ、それを自治体にキックバックするかたちになる「特別法人事業譲与税」

このような目に見えないステルス増税が横行しています。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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