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 相続税を一言でいえば、亡くなった人の遺産にかかる税のことですが、その課税方式は一言では説明できない複雑さをはらんでいます。

 相続税の課税方式は国によって異なりますが、現在の日本では「法定相続分課税方式」と呼ばれる方法を採用しています。

この方式は

  1. まず相続財産の価額の合計額から法定相続人の数に応じた基礎控除分を控除し
  2. それを全相続人が法定相続分に応じて取得したものとして分割して税率をかけ
  3. その税額を合計して相続税の総額を求め
  4. 最期に実際に取得した財産の割合に応じて税負担を按分する

というものです。

 法定相続分課税方式は、他のやり方に比べて、税率を減らすための仮装分割を防ぐことができ、また取得額に応じて税負担を按分する為、応益負担の原則にかなうというメリットがある一方、実際に取得した額に差があっても税率が変わらず相続人間の公平性に欠けること、相続人が同じ額を取得していても遺産総額次第で税額が変わるのは公平性に欠けることなどがデメリットとして指摘されています。

 その他にも、ある相続人に申告漏れがあった時に他の全ての相続人の相続税額にまで影響がある事や、小規模宅地等の特例などの効果が遺産全てに及ぶことで本来特例とは関係ない相続人までその恩恵が及ぶとして、課税方式の抜本的な見直しを求める声も出ています。

 実は相続税の課税方式は、2008年度税制改正大綱で「見直しを検討する」と盛り込まれたものの、その後全く形にならなかったという経緯があります。課税方式の変更は納税者の相続対策にも大きな変更を及ぼすため、慎重な議論を求めたいです。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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