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 考えたくもないことですが、従業員が会社のお金をネコババし、私的に流用した事件をよく耳にします。去年だけでも9つの話題になった横領事件がありました。

①【約7億円被害・財務担当者が小切手を換金】日本マクドナルド

②【約5億7,800万円被害・架空取引や収入印紙の不正換金など】JDI

③【約2億5,000万円・ネットバンクで不正入金】大坪電気

④【約2億円・売上金を着服】GLAD HAND

⑤【1億3,142万円・顧客の貯金などを着服】JA三島函南

⑥【約5億4,530万円被害・切手を横流し】日本郵便

⑦【約6億2,900万円被害・資材を無断転売】寺崎電気産業

⑧【約4億3,000万円被害・水増し請求で横領】ローソン

⑨【約21億円被害・土地売却の手付金を横領】明浄学院

これら全ては、内部の人間の横領事件です。億単位の被害が当たり前になってきています。見抜けなかったのは会社の落ち度と言われてしまえばそれまでですが、会社にしてみれば、信じていた従業員に裏切られ、お金が無くなり、場合によっては取引先から損害賠償を請求され、それでなくても対外的な評判は地に落ちるといった踏んだり蹴ったりの状態になります。

しかしそんな状況下でも、会社にはさらなるペナルティーが待ち受けています。国税当局による重加算税の認定です。社員が売り上げの隠蔽や経費の架空計上によって着服した金額は、税務上は会社の「所得隠し」に当たります。さらに故意による「仮装・隠蔽」に該当すると認定されることがほとんどで、加算税のうちで最も重い重加算税が課されてしまいます。

過去には玩具やゲームを手掛けるバンダイ、大手ゼネコンの竹中工務店、フジテレビなどで社員による着服が発覚し、その全てで会社に数千万円の追徴課税が課されています。資産を私的流用されたうえ、その責任を会社が負わされるとは、まさに泣きっ面に蜂ですね。竹中工務店やバンダイは修正申告と納付を済ませた後に、着服した本人に損害賠償を請求しましたが、損害額は個人に払いきれる金額ではないので、全額取り戻すことは不可能です。会社にできることは、着服や横領が起きないように普段から相互チェック体制を整備するしかなさそうです。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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