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 国税である所得税は

①給与所得者で

②その年中に支払いを受ける給与等の金額が2000万円以下で

③1ヵ所からしか給与等の支払いを受けておらず

④給与所得及び退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下

であれば、確定申告をしなくてもよいことになっています。これは少額の所得については税務申告を簡素化するための仕組みで、これに該当する支払いはおおよそ源泉徴収で税の徴収が完結していることによります。例えば原稿料は支払いをする時にも所得税が源泉徴収されます。また源泉徴収していない地代や家賃についても、少額であることを理由として確定申告は必要ありません。

 しかしこれらの所得について、何も申告しなくていいのかといえばそうではありません。

 地方税である個人住民税では、所得税のように源泉徴収する制度もなく、さらに少額を理由として申告不要とする規定もありませんので、所得金額がいかに僅少であっても申告が必要になります。

 同様に国税である所得税では、公的年金等の収入金額が400万以下で、公的年金等の雑所得以外の所得金額の合計額が20万円以下なら確定申告は不要ですが、これも地方税である個人住民税では、いかに公的年金等以外の所得が少なくても申告は必要になります。株式などから得られる配当が少額であった時も、国税である所得税では、一銘柄につき一回10万円以下の非上場株式の少額配当については、源泉徴収(税率20%)をしているから申告不要ですが、この源泉徴収に都道府県民税は含まれておりませんので、やはり住民税の申告は必要となります。

 なお、これらの所得については、所得税の確定申告は必要なく、個人住民税の申告だけでよいことになります。場合によっては、所得税の最低税率は5%なのに対して、源泉所得税の税率が10%であるなど、所得金額によっては所得税の確定申告をすれば還付を受けられることもあります。少額所得について所得税の申告をすべきかどうかは、還付を受けられかどうかで判断して下さい。

 所得税の申告をすれば、国と地方の間で情報がやり取りされ、個人住民税の申告は必要がなくなります。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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