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被相続人が法人に使用貸借した土地の評価は、原則として賃貸借した土地(貸宅地)と同等の低い金額の評価が認められています。使用貸借とはタダで貸すことで、法人税は無償による資産の貸借を原則として認めていないため、低い金額の評価が認められています。この点を踏まえ、法人に貸した土地については、所定の場合を除き、適正な地代を取った場合同様に評価すべきとされています。なお、個人間は使用貸借が認められているため、貸すことによる評価減は認められず、自分で使う自用地として評価します。

しかし、先日公開された、東京国税局の研修資料には、この通説を真っ向から否定する内容が書かれています。具体的には、法人に対する使用貸借も、自用地として評価するとされているのです。根拠として平成18年の判例が掲載されており、この事案で法人への使用貸借も自用地として評価すると判断されているためと解説されています。

しかし、この平成18年の判例をストレートに使うのは問題があります。このときに自用地評価とされた大きな理由は、使用貸借した先の法人が公益法人だったからです。

法人に土地を使用貸借した場合、法人税においては土地の利用権である借地権を地主である個人が法人に贈与したという課税が行われます。法人税でこのような課税がなされるからこそ、相続税の評価を下げるべきであるとされているのです。

しかし、公益法人は資産の贈与を受けても原則法人税は課税されません。その結果、平成18年の判例では法人税を課税できない分、相続税では貸宅地とはしないという判断がなされたようです。

そもそも借主が公益法人か否かで取り扱いを分けるというのは法解釈としてはあり得ません。これは多額の税金を取ろうとする税務当局に配慮して、例外的にこのような判断を裁判所は行ったと思います。

実際、平成18年以降の事例でも、法人に使用貸借した土地について、貸宅地として評価できるとした事例もあり、この研修資料の内容には到底納得できません。しかも、法人に使用貸借した土地の評価について争われた事例はいくつもあるのに、平成18年の判例だけ取り上げて根拠としているのも、検討不十分としか言いようがありません。

しかし今後は研修資料を根拠とした課税が行われる可能性が高いため、法人に使用貸借した土地の評価方法は今後見直す必要があるかもしれません。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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