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  建設時の借金が残っている賃貸用アパート2棟のうち、1棟は息子に相続させ、残りの1棟は法定相続人ではない孫に引き継がせる場合の相続について考えてみたいと思います。

 借金の残った特定の不動産を遺言で引き継がせる場合、法定相続人以外の人は、課税される相続財産の価格から借金分の金額を差し引ける「債務控除」を適用できません。

 借入金や葬式費用などの債務を遺産総額から差し引けるのは、相続・遺贈で財産を取得した人のうち、その債務を負担することになる相続人又は「包括受遺者」に限られます。この包括受遺者とは、遺言で遺産の全部又は何割といったように、遺産の全体に対する割合で財産をもらった人のことをいいます。

 一方、特定の財産だけをもらった人は「特定受遺者」と呼ばれ、被相続人が債務の引継を指定しない限り、受遺者自身が借金を引き継ぐ義務なないので、相続税法上では債務控除ができないこととなっています。

 遺言が民法上の「包括遺贈」に該当する場合、孫の債務は債務控除ができることとなります。しかし実務上、日本では「包括遺贈」の遺言を目にすることはあまりありません。また、書かれた遺言が民法上の「包括遺贈」「特定遺贈」どちらに該当するのかを判断するのに難しいことがあります。 

生前に遺言を準備するケースが増えていますが、それはとても望ましいことですが、相続人以外の孫などに財産を遺贈する場合は、事前に相続税法上の取り扱いに充分留意する必要があります。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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