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 夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定が憲法に違反するかどうかが争われた3件の家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷は6月23日、両規定を合憲とする決定を出しました。

 現在、マイナンバーカードや住民票などでは2つの姓を併記する運用が認められていますが、確定申告など納税の分野では戸籍主義が貫かれています。

 夫婦別姓の合憲判断は2015年に続き2回目です。東京都内に住む事実婚の男女3組が、別姓での婚姻届を受理するよう家庭裁判所に求めていましたが、受理しない判断が確定しました。15人の裁判官の内、11人の多数意見で4人は違憲としました。

 現状は、法律上では同姓での結婚しか認められていなくても、旧姓氏名を望む人々のために、2つの姓を併記する運用を国は認めています。2019年からは住民票、マイナンバーカード、運転免許証で認められるようになりました。また会社役員名を載せる商業登記簿でも旧姓が認められています。

 しかし一方、納税や年金受給、特許出願という分野では依然として戸籍名しか認められていません。確定申告では戸籍名で行うため、還付金の振込口座は申告書の名義と同じでなければなりません。

婚姻届を提出していない事実婚であれば、配偶者控除や扶養控除、相続税の配偶者の税額軽減などの税の特典を受けられなくなります。婚姻届を提出すると同時に、配偶者はお互いの法定相続人になります。事実婚夫婦の子供は、自動的に母親の戸籍に入るので、姓も母親のものを名乗ることになります。手続きを何も取らなければ、父親との関係は非嫡出子となり、そこに法的な父子関係を発生させるためには「認知」しなければなりません。法務大臣の諮問機関の法制審議会が選択的夫婦別姓の導入を盛り込んだ民法改正案を1996年に答申してから4半世紀が過ぎました。改正案では、結婚時に夫婦が同姓にするか別姓にするかを選べる「選択的夫婦別姓制度」を導入し、別姓を選択した場合は子の姓をどちらかに統一するという内容です。今や世界で夫婦同姓しか採用しない国は日本だけとなっています。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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