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 土地や建物などの譲渡には原則として譲渡所得税がかかりますが、固定資産を同じ種類の固定資産と交換した時に限り、譲渡がなかったものとする「固定資産の交換の特例」を利用することができます。ただし、この交換特例を受けるためにはいくつかの要件を満たさなければなりません。

 まず交換により譲渡する資産と取得する資産はいずれも固定資産で、土地と土地、建物と建物のように互いが同じ種類の資産であることが条件です。借地権は土地に含まれ、建物に付属する設備や構築物は建物に含まれます。なお不動産業者などが販売用に所有している棚卸資産は、そもそも特例の対象にはなりません。

 次の要件として、交換により譲渡する資産と取得する資産は、それぞれ1年以上所有していたもので、交換のために取得したものでない場合に限ります。最初から交換目的で取得した資産は、対象から外れます。

 また交換によって取得する資産は、譲渡する資産の交換直前と同じ用途で使用しなければなりません。例えば土地は宅地、田畑、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野などの用途に、建物は居住用、店舗用、事務所用、工場用、倉庫用などの用途に区分されます。

 そして交換で譲渡する資産の時価と取得する資産の時価との差額が、時価の高い方の価額の20%以内でなければなりません。この特例が受けられる場合でも、交換に伴って相手から金銭などの交換差金を受け取ってしまえば差額が所得税の課税対象となります。

 交換で取得した資産の一部を、譲渡した資産と同じ用途に使用しなかった場合、その分の資産の価額が交換差金とみなされます。さらに一つの資産の内一部を交換し、他の部分を売却した時も、その売却代金が交換差金になります。土地と建物を一括して交換した時に、土地と建物の総額が等しくても、土地と土地、建物と建物の種類ごとに価額が異なっている場合は、その種類ごとのそれぞれの差額が交換差金となります。

この特例を受ける際は、確定申告書に記載し、譲渡所得の内訳書を添付して提出する必要があります。 

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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