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 公金受取口座登録制度とは、国民の皆さまが金融機関にお持ちの預貯金口座について、一人一口座、給付金等の受取のための口座として、国(デジタル庁)に任意で登録していただく制度です。預貯金口座の情報をマイナンバーとともに事前に国(デジタル庁)に登録しておくことにより、今後の緊急時の給付金等の申請において、申請書への口座情報の記載や通帳の写し等の添付、行政機関における口座情報の確認作業等が不要になります。口座情報は、緊急時の給付金のほか、年金、児童手当、所得税の還付金等、幅広い給付金等の支給事務に利用することができます。この登録される口座を、公的給付支給等口座と言います。

 しかしまぎらわしいのが、すでに数年前から存在する「預貯金口座付番制度」との違いです。

 「預貯金口座付番制度」とは、預金者がマイナンバーを金融機関に届け出る制度のことです。2018年1月から、投資口座の開設、外国への送金時に個人番号を提出することが全面義務化されたことに加えて、それ以外の普通口座についても任意の番号提出が始まりましたが、現在のところ紐付けは低調にとどまっています。

 なぜ預金口座にマイナンバーを紐付けようとする人が少ないかというと、資産情報を当局に完全捕捉されることへの懸念に他なりません。今後、預金保険機構を仲立ちとして相続時などに一括して口座情報を取得できるようになるなど預金者にとってのメリットはありますが、それよりも口座へのマイナンバー紐付けが有効活用されるのは、主に税や社会保障などに関して行政側が資産情報を調査することが主とされるからです。昨秋に発足したデジタル庁では預金口座へのマイナンバー紐付けの罰則付き義務化も検討されましたが、口座情報を把握されることに対する国民の反発や不安に配慮し、当面は「個人の希望に沿って行い、国民に対して義務化はしません」という形に落ち着きました。

 これに対し、今回の「公金受取口座」は、あくまでも給付金や児童手当、年金などの受け取りの為だけに利用されるものとされています。マイナンバーは本人確認のために使われるだけという立て付けです。

 なお現在は、マイナンバーカードの取得促進のため、カード取得などをした人に最大2万円分のポイントを還元する「マイナポイント」事業が実施されていますが、このうち7500円は、今回の公金受取口座の登録をした人のみが対象となります。内訳として、マイナンバーカードの取得で5千円、健康保険証としての利用申込で7500円、公金受取口座への登録で7500円、トータル2万円のポイント還元が受けられます。ちなみに申込期限は2023年2月末までとなっています。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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