23223698_m

 法律婚によらない夫婦関係は増加傾向にあり、家を中心に婚姻が成り立っていた戦前とは大きく様変わりしています。様々な権利義務を得るうえで事実婚として認められるポイントは、双方に婚姻の意思があるカップルの他、生活若しくは生計をともにしている、または共に認知した子があるときなどです。住民票には、世帯主および「妻(未届)」と続柄の欄に印字されることになります。

 法律婚と事実婚の違いは、婚姻届を役所に提出しているかどうかだけの違いです。従前、事実婚は何かにつけ差別的扱いを受けることもありましたが、国民意識の高まりに加え、2008年に最高裁で婚外子への差別的扱いを違憲とする判断が出されて以来、徐々に世間での受け入れも柔軟になりつつあります。

 健康保険や厚生年金では年収要件に該当すれば被扶養者になる事ができます。また生命保険の死亡保険金の受取人には、保険会社によって条件は異なるものの、おおむね可能です。さらに国民年金や厚生年金の遺族年金の「配偶者等」には事実婚を含むものとされています。

 こうしてみますと、事実婚であっても何の問題もなく「夫婦」として認められるものばかりのようにみえますが、実は税金に関しましては法律婚に比べて不利に扱われることがありますので注意が必要です。

 事実婚におきましては、相続税や贈与税で配偶者の特例が適用できず、それどころか法定相続人になることもできません。そのため、いかに住民票に「妻」とあっても相続財産を全て残すことは出来ないことになります。事実婚の相手が相続権を取得するためには、特別縁故者であることを裁判所に認めてもらう必要がありますが、これは他に相続人が一人もいないことが適用の条件になっています。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

「所長の独り言」一覧はこちら

 

免責
本記事の内容は投稿時点での税法、会計基準、会社法その他の法令に基づき記載しています。また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上実行してください。当事務所との協議により実施した場合を除き、本情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切責任を負いかねます。また、本記事を参考にして訴訟等行為に及んでも当事務所は一切関係がありませんので当事務所の名前等使用なさらぬようお願い申し上げます。