第1184話 不動産取得税
土地・建物の購入や贈与、または家屋の建築などで不動産を取得した場合には、不動産取得税が課されます。有償であろうと無償であろうと、また登記の有無にかかわらず不動産取得税は課されます。
ただし、相続による取得の他、取り壊すことを前提にした購入の場合は不動産取得税は課されません。
地方税では
- 取得時に取り壊し以外の選択肢がないことが客観的に明示されている
- 取得後ただちに取り壊しされている
- 取得後に使用されていない
この3つを満たせば、不動産取得税を課さないと規定されています。借家人が取得者の意思に反して居座り続けることによって取り壊しが遅れるケースでも、取得後も使用する意思がなければ課税対象外として認められています。
なお取り壊す意志表示の時期や内容については、事例ごとに個別に判断されます。過去の事例では、転売目的で古い家屋付土地を競売で仕入れたA社が、その家屋の建ぺい率や容積率が法令の定めを超える違法物件だったため、商品化しないことを決め、多額の費用を負担して取り壊しました。しかし自治体に不動産取得税を課されたため、不服を申し立てたところ、不服審判所は「取得が競売の場合には、契約などで取壊し条件を示すことができていないため、課税は適法である」としました。不動産購入時に取り壊して売却する意思があることを証明できていなかったため「一定の条件」を満たさないと判断されたわけです。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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