34399195_m

 2019年の民法改正により、遺留分の取り扱いは劇的に変化しました。最大のポイントは、「遺留分の金銭債権化」です。

 以前は、遺言の内容に不満を持つ相続人が遺留分を請求すると、不動産や自社株などの遺産そのものが共有状態となり、経営や売却を阻害するリスクをはらんでいました。これが、現在の「遺留分侵害額請求」では、請求の対象はあくまで金銭に限定されています。これにより、後継者は自社株の散逸や不動産の共有化を免れ、事業の継続性を守り安くなりました。

 しかしこれは同時に、請求を受けた側がまとまった現金を即座に用意しなければならないことを意味します。もし現金の準備が難しければ、銀行借入や資産の売却を検討せざるを得ません。

 当事者間の合意があれば、不動産を譲渡して支払いに充てる代物弁済も可能ですが、代物弁済は時価による譲渡とみなされますので、譲渡した側に所得税が課されます。もっとも、そうした状況を受けて、改正民法では、請求を受けた側または請求した側が裁判所に申し立てることで、現金の全部または一部の支払について相当の期間を猶予(期限を許与)してもらうことが可能です。

 そもそも遺留分侵害請求が行われる時点で、相続トラブルが発生しているわけで、これを予防するには、遺言書を作成する段階で、遺留分侵害額に相当する現預金を確保しておくか、生命保険などを活用した納税資金対策を講じるべきです。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

「所長の独り言」一覧はこちら

 

免責
本記事の内容は投稿時点での税法、会計基準、会社法その他の法令に基づき記載しています。また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上実行してください。当事務所との協議により実施した場合を除き、本情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切責任を負いかねます。また、本記事を参考にして訴訟等行為に及んでも当事務所は一切関係がありませんので当事務所の名前等使用なさらぬようお願い申し上げます。