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 昨年、国税の納付環境整備の一環としてクレジットカード納税が実現しました。それから1年を経過しますが、一般に認知されたとは言えません。

 政府税制調査会の資料によりますと、2016年度のカード納税の利用実績は5万件で、納付件数全体の4407万件に占めるシェアはわずか0.1%でした。コンビニエンスストア納付の170万件、3.9%と比べても、利用率の低さが際立っています。

 カード納税は、感覚的には通販サイト利用の延長線上にあります。パソコンなどで指定されたウェブサイトにアクセスし、例えばショップ名「国税庁」と商品名「所得税」、金額(納税額)を指定して、クレジットカードで決済する。実際には納付番号などがベースとなるから、通販よりややハードルは高くなります。

 この方式には、他の納税方法にはないメリットがあります。第一に、決済時に納付は完了するものの納税者が現金を用意するのはカード代金の引き落とし時でいいことになります。つまり1カ月ほど資金確保の余裕が出来ます。第二に、納税によってカード利用時のポイントやマイルが還元されます。これは高額納税者にとって馬鹿にならない額になります。

ただ国税庁の側も甘くはありません。カード納税は、他の納税方法とは違って手数料がかかります。その額は納税額の0.7%。1万円に対して70円です。クレジットカードのポイント還元が0.5-1%程度であることを考えると、それを相殺する水準に設定されたように思えます。
 国税庁は、この手数料を一切、受け取りません。国からカード納税の決済代行を受託した企業がシステム開発や事務処理、カード利用者の焦げ付き(未払い)対策などの費用に充てる仕組み。国税庁の立場では、カード納税はあくまで納税者の利便性向上というサービスであり、その代価は利用者自身が支払うべきだという考えです。
 しかし、現在の手数料水準は最低水準なのかという疑問は残ります。システム開発の初期投資は重いが、長く使えば安くなるはずです。
 その他の経費も、納税額が増えれば抑えられるはず。決済代行の受託企業は5年に一度、競争入札で決まるというから、いずれ手数料が安くなることを期待したいものです。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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